「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」(2025.5.21~23, パシフィコ横浜)を観に行きました。

(株)童夢 天澤天二郎氏

日本自動車レース工業会様のブースでひときわ目を引く展示品に吸い寄せられ、同会による純国産フォーミュラカー開発プロジェクト「Next Formula Project」(以下NFP)についてお話をお伺いしました。
日本自動車レース工業会(JMIA)ウェブサイト

JMIAの参画企業約70社のひとつ「株式会社 童夢」(滋賀県)開発部マネージャーの天澤天二郎氏(上写真)にお話をお伺いしました。同氏は1998年新卒で童夢に入社、現在は車両開発の包括的なマネジメントを担っておられます。1970年代後半の「スーパーカーブーム」の真っ只中にいた私の記憶にも鮮明に残っている「童夢-零」を生み出した企業の方とお話できるとは想像だにしませんでした。

純国産車両でトップフォーミュラに挑戦

NFPは昨年2024年春ごろよりスタートし、今年2025年秋ごろ、すなわち着手から2年足らずでサーキット走行を可能とする試作車を完成させる予定とのこと。驚異的な開発スピードです。更にNFPでは基幹部品を全て純国産とする事をコンセプトに掲げ、トップフォーミュラに挑戦するとのこと。ロマン溢れるプロジェクトです。

1/2スケール風洞実験用モデル

JMIA様ブースの展示物の中でも、フォーミュラカーのモデル(スケール:実車の1/2)はひときわ来場者の目を引いていました。童夢様は自社設備として巨大な風洞実験施設を保有しておられ、このモデルはそこで様々な風洞実験に供されたそうです。実験データを収集するためのセンサー類が至る所に装着されている他、3Dプリント製パーツも多く使用されているそうです。

天澤氏「まだまだ研究開発の余地多い」

フォーミュラカーには数多くのレギュレーションが存在するため、私は研究開発に工夫の余地があまり残っていないのではないかと思っていましたが、天澤氏によると工夫の余地はまだまだ多いとのことです。試したいアイデアは数多くあるが、なにしろ開発期間がタイトなため1台の車両に多くを盛り込めないのだそうです。つまり今後JMIAが開発する車両は引き続き更なる進化を遂げるという事ですね。純国産フォーミュラカーでトップフォーミュラに挑戦する本プロジェクトの未来に期待が高まります。株式会社 童夢 天澤天二郎様、貴重なお話をお聞かせ下さいまして誠にありがとうございました。

エアロダイナミクスとバイオミメティクス

空力性能向上を目的とするパーツとして、JMIAの展示モデルにはカナード翼などが付与されています。

これらを見て私は学問体系のひとつ「生物模倣」(バイオミメティクス)を思い浮かべました。もしかすると、「Shark Skin(サメの肌)」のような幾何形状をカウル表面に施すと整流効果が得られ空力性能向上に寄与するのではないかと。

出展:Ocean Portal

Grasshopper:プログラムによる3Dモデリング

概念説明としてGrasshopperで簡単な例を作成しました。カウル表面に小さいフィン群を配置するイメージです。

プログラム上でフィンの配置に関するパラメータを様々に変化させ、3Dモデルを自動生成させています。多数のマイナーバリエーションを短時間でモデリングし、数値解析や3Dプリントの工程に引渡す事ができます。これら一つ一つを一般的な3D-CADを用いて手作業でモデリングするのは実務的に困難です。

Grasshopperプログラムの全体像

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